The Urgency of Reading: 国境なき図書館と国際キャンペーン『緊急時の読書』

去年、形にできなかったものがあります。2015年は早急にプロジェクト化させたいと思っています。

2013年10月にフランス・パリで行われたシンポジウムに、東日本大震災後に行った移動図書館プロジェクトの事例報告のために招聘してもらいました。フランスのNGOである、Libraries without Borders (国境なき図書館)が主催した国際会議でした。

国境なき図書館は、2007年に情報へのアクセスと文化の伝播は、経済発展、民主主義の実践や人権の鍵を握ると考え、開発途上国において図書館関係のプロジェクトを実施するために設立されました。2010年のハイチ地震では支援チームを組み、被災地での図書館の活動を行いました。現在では、アメリカ、ベルギー、ハイチにもスタッフを配置し、アフリカを中心にアジア、ヨーロッパ、アメリカなど全世界20か国をこえる国々で図書館の支援活動を展開しています。

2007年に設立ということは、まだ10年も経っていない団体ですが、この会議に出て学ぶべきものが多かった。特に、プロジェクトの波及のさせ方、関係者の巻き込み方が勉強になりました。

IMG00454
国境なき図書館の設立者・ウェイル(Patrick Weil)氏

 ボランティアのコーディネーションが鍵である

500人の図書館員をプロボノとして現地に派遣しています。また年間5万冊の本をフランスやアメリカで集めて、事業地に送っているのですが、その仕分けもボランティアが行っています。

「鍵を握るのはボランティアコーディネーションである」と思っています。手伝って欲しい仕事があったり、またボランティアでも関わりたい人がいるのに、人と仕事、人と人をコーディネートする人がいないと、機能しません。

またボランティアなど「その団体の活動に関わる」ことで、活動へのコミットメントも高まります。 NPOでプロジェクトを円滑に進めるために資金調達(ファンドレイジング)の重要性が叫ばれていますが、ボランティアとして労力を提供した人の募金額は、していない人よりも高いという結果もあります。

 アドボカシー(政策提言)キャンペーンにはノーベル文学賞参加も賛同

「緊急時の読書キャンペーン」 Champaign of The Urgency of Reading

世界では災害や紛争で4,300万人が住居を奪われた状態にある(4)。衣食住が不可欠なのは疑いようもない事実だが、知的な刺激を維持し、自尊心や回復力を高めることも同時に大切である。その中で、本、コンピューター、法的なアシスタント、トレーニング、情報や文化資料へのアクセスは一人ひとりを勇気づけ、失ったものを再建するツールとなる。

2011年11月より、国境なき図書館は上記のように呼びかけをし、国際キャンペーンをスタートさせました。

このキャンペーンには、3,000人以上の世界中の作家や著名人が賛同の表明をしています。この中には、1993年にノーベル文学賞を受賞したモリスン(Toni Morrison)氏などノーベル賞受賞者8人も含まれています。

インフルエンサー(影響力がある人)へのアプローチや巻き込み方を行っているのです。それも作家など本に関わる人たちをがっつり抑えています。

こちらは英語のサイトですが、キャンペーンスタート時に賛同した方たちのリストです。

  THE FIRST SIGNATORIES OF THE CALL

 理念があってこそ、伝えてこそ

著名人が賛同し、ボランティアが集い、助成財団が支援を申し出、議会が話を聞きたいと言っている。

これって「理想的でうらやましい」と思わない人はいないと思います。

そうなった一番ベースにあるものは、代表者の理念であり、それが伝わっていることだと思います。フランスですよ。哲学の国ですよ。表面上の「かっこいいかもしれないキャンペーン」は、ノーベル文学賞の作家は無視するはずです。(ノーベル賞の作家じゃなくても・・・)

今回の会議でも代表のウェイル氏が「本がいかに人間に必要とされているか」という理念・・・活動の本質を伝える熱い言葉がストレートに頭と心に響きました。

日々の仕事に追われ「作業」ばかりをしていると、理念の部分を語ることを忘れがちになってしまいます。

人は誰かの作業に共感するのではなく、理念に共感するのです。その作業を手伝うにしても、その作業をする意味、意義が伝わっているか否かで、その後の関係の深さも変わってくるでしょう。

そんな大層なことをいいながらも、日々の仕事をこなすのに追われている毎日を反省し、2015年は行動を改めようと決意しております。

まとめ

フランスで衝撃を受け、IDEA BOXのようなパッケージを作りたいと思ったのにも関わらず、フランスから日本に戻って、気がついたら1年が経ってしまっていました(あぁ)

ただ第一ステップとして東日本大震災の発生後、東北で行った移動図書館のプロジェクトを2014年に『走れ!移動図書館~本でよりそう復興支援』(ちくまプリマー新書)としてまとめられたのはよかったです。

講演の時にいつもお話をしているのですが、この本を出す時に筑摩書房のご担当者に「マニュアルになる本にしたい」とお伝えしていました。2011年3月11日から移動図書館の初運行の7月16日まで、どのタイミングで何をどうやって揃えたのかをまとめました。これを読めば、このタイミグでこれをそろえれば移動図書館がゼロからできることが分かるようになっています。

さて2015年はその第2ステップに進みたいのです。「緊急時の読書」は、自然災害の多い日本だからこそ考えるべきことではないかと感じています。

IDEA BOXのようなパッケージ作りを、震災が起こる前の平時に考えたいのです。

そして「緊急時における読書や図書館」の役割を、今一度まとめ、政策提言も含めてまとめ伝えていくことをしていきたいのです。

こちら一人ではできない作業です。NGOや図書館のセクターはもちろん、企業、助成財団、政策側も含めて議論して形作りたいので、ご関心のある方はぜひメッセージをください。

(右のフォームから鎌倉までメールください)

そのタスク作りをまずはしていきたいので、仲間募集中です

IMG00444

国立国会図書館のカレントアウェアネスに書いたこちらの記事もご覧ください。

   CA1810 – 動向レビュー:国境なき図書館と国際キャンペーン『緊急時の読書』 / 鎌倉幸子

タイトルとURLをコピーしました