「最近”スタートアップだ”、”起業だ”って叫ばれているけれど、大変なのは事業承継ですよ」
商工会議所の方からそんな話を聞きました。
起業しても約70%が3年以内に倒産し、10年つづく会社は1割にも満たないといわれています。
代々受け継がれていた企業も、あとを継ぐ人がいない、社会的変化についていけないと倒産するケースも見られます。
「継続は力なり」とはよくいったもので、継続するために必要なパワーは並大抵のものではありません。
2012年に刊行された『復興の書店』には、まちの本屋さんとして文化の炎を途切れさせないと、奮起して被災した書店を復興させたり、新たに書店を始めた店主のみなさんのインタビューが載っていました。
書店に入り浸るのが好きな私は「よくぞ復興してくれた」と感動しながら読み進めていました。
『復興の書店』が出されてから、7年が経ちました。
いま、この本に出ている書店がどうなっているのか、ご存知ですか?
まちに灯りがともっているとほっとします。
桑畑書店さんの入り口です。
震災前は2階建ての書店でした。震災で被害を受けた、1階部分が鉄骨むき出しになった店舗は私も見ていました。
その後、プレハブの仮設商店街で再開。プレハブの仮設店舗にもうかがわせていただいてました。
そして、やっと、2017年にいまの店舗に移転します。震災から6年間。「廃業しない」ことを決めて書店の扉を開け続けています。
17坪の小さい書店ですが、上のツイートにもあるように、厳選された本が置かれています。郷土資料の棚も充実しています。
桑畑書店に行くたびに、発見をいただいています。
『句集 龍宮』(角川学芸出版)で第12回俳句四季大賞を受賞した照井翠さんの初エッセイ『釜石の風』(コールサック社)は、桑畑書店さんの一押しです。
震災から8年経ったいま、あらためて「あの日」を体験した人たちの声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
桑畑書店の中にはいつもお客さんがいて、一人で黙々と本を探す方、おしゃべりを楽しむ方の姿が見られます。
また、ビブリオバトルや作家によるトークイベント等も、行われています。人と本、人と人とをつなぐチャレンジを続ける店主の桑畑眞一さんのパワーに脱帽します。
「あと10年くらいは続けたい。還暦は過ぎちゃいましたが」と、桑畑さんが笑いながら話してくれました。
復興の書店から、継続の書店へ。継続のためにできることはずばり「買うこと」です。
2019年ラグビーワールドカップの観戦に行く皆さま。ぜひ、桑畑書店にお立ち寄りください。
釜石市までは仕事があるからいけないよというみなさま!こちらの記事をご覧ください。