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言葉を育てる・社会をつなげる・未来を創る~第100回全国図書館大会

第100回全国図書館大会記念フォーラム「図書館文化を明日の力に~言葉を育てる・社会をつなげる・未来を創る~」が開かれました。

大会要綱に書かれていたフォーラムの趣意は以下の通り。

東日本大震災で被災した地域では、全国から寄せられた図書館復興支援の活動や、贈られた本を足がかりに、図書館が、地域の復興の推進力となって活躍しました。その中で、被災した心を慰め、人々に勇気を与える読書の力が改めて見直されています。

また、全国各地では、図書館の新しい活動の在り方が、人々の心に触れ、地域の人々を結びつけ、地域を活気づけ、地域づくりやコミュニティー文化の創生に大きな役割を果たしつつあります。

この記念フォーラムでは、被災地気仙沼の小学生たちが地元出身の詩人の詩に出会う様子や、全国各地における図書館の新しい取組み、本との出会いに関する取組み、等々を映像で紹介しながら、パネリストたちが、それぞれの実戦経験に基づいてお話し、明日の文化をつくる図書館の力について語り合っていただきます。 

                                     第100回全国図書館大会東京大会 大会要項 

4人のパネリストの皆さま。


左から、暮らしの手帖編集長、エッセイスト、書店COW BOOKS店主の松浦弥太郎さん。アナウンサーで「子どものことばを育てる」活動を行っているの山根基世さん、人と本の出会いを生み出すBACHのブックディレクター幅允孝さん、そしてに日本図書館協会理事長の森茜さんがご登壇されました。

コーディネーターはNHKの元アナウンサーで、現在はフリーの福祉ジャーナリストの町永俊雄さんが務めていらっしゃいました。

印象に残った言葉がたくさんありましたのでご紹介します。

町永さん

  • 本は自分の人生の中に、他の人の人生も見せてもらえるもの。
松浦さん
  • 本は時間をかけて付き合えるもの。人と人との関係のようにつながることができる。
  • 答えを探さない。今の時代「答え」を求めすぎている。この社会では答えられないことはたくさんある。決めてしまうことで不自由になることもある。答えを見つけるのではなく(本を通じて)”みんなで考える”ことはできる。
  • 本は人である。(まちじゅう図書館などは)本を紹介するのは自分のともだちを紹介するような感覚。共通の本で他人と通じ合える。図書館員は本が好きな人が多いと思う。それは人が好きということ。
  • 人と違っていいんだと思えることで、自分が好きになる。多様性を認め合うことができる。

山根さん

  • 子どものことばを育てる。それは漢字をどれだけ覚えるかではなく、日々の暮らしの中で隣の人にどのように表現し、コミュニケーションを取っていけるか。自分の目で見て、頭で考えて、自分のことばで語ることの大切さ。
  • 人間力としての「ことば」を育む。
  • 読書の喜びは想像力を働かせること。
  • 子どもたちが関われる場にしたい。
  • 頭を使うものではなく、心を使って味わうもの。心の使い方を学ぶ。

幅さん

  • (棚を作る、本を並べることについての質問を受けて)今は、検索型の世界になっている。棚の前を通った時に「つまづき」があるようにしている。普段手に取らない本との出会いを生み出せるように。
  • 本は、長い時間をかけてよりそえるもの。1ページを開いてみる、読んだふりをするのも自由な世界。
  • 本から離れて久しい人にどのように本を手に取ってもらうための試みができるのか。
  • 目の前にいる1人のために何ができるのかを考える。

またVTRに登場した鳥取県立図書館の小林隆志さんの選書への思いが熱い!

  • 人を喜ばせる、幸せにするためには何をすればいいのかを考えている。
  • 今までは蔵書の数、利用者の数で測っていた。でも一冊がどのように手に取った人の「深いところ」に根ざすかが大切。

あとこちらの言葉、どなたの発言かメモをするのを失念してしまったのですが、とても素敵な一言です。

  • 数ではない。1行でも残った言葉があればいい。

実体験に基づいた図書館の力、本の力についての皆さまの発言に心を打たれました。

松浦弥太郎さんの「本は人」という言葉を聞いた時に、「本を焼く者は、やがて人間をも焼くようになる」というハインリッヒ・ハイネの言葉を思い出しました。

また山根さんの「心で味わうもの」というご発言と、東日本大震災の被災地や内戦後のカンボジアで図書館の活動を始めた原点が「体の栄養と同時に、心の栄養を届けていく必要性」であったことを再認識しました。

体の栄養が満たされてから、心の栄養を与えるのではなく、どこかの段階で同時に届けていく必要があるのではないでしょうか。

幅さんの「目の前にいる1人のために何ができるのかを考える」というのも、一人の人とじっくり向き合い、一冊の本との出会いの喜びをじんわり感じてもらうことが大切だということを感じています。一人ひとりが違うように、その人に合った一冊との出会いをきちんと生み出すことは鳥取県立図書館の小林さんの発言とも重なるところがありました。

本が活かされている場所には、「一人ひとりと向き合う」人間が存在するのです。

■ご登壇者の著書■

松浦弥太郎さん

『松浦弥太郎の仕事術』は新潟のツルハシブックスで買って、秋田に向かう道すがら読んだ一冊。

山根基世さん

幅允孝さん

東日本大震災後の東北で行われた本でよりそうフック支援の記録
■走れ!移動図書館~本でよりそう復興支援■

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