「ゲラを読んでもらえませんか」と、早川書房の知り合いから連絡をいただきました。4月は積読本を読む月間にしていたので、本を読むのは大歓迎!OKの返事をしたら、すぐに、4月下旬に早川書房から刊行される『三つ編み』のゲラが届きました。
インドの不可触民のスミタ。事故で死の淵にいる父の借金で倒産寸前の工場を背負うことになったイタリアのジュリア、カナダで活躍する周りを寄せつけない完ぺきな敏腕弁護士だが乳がんが見つかったサラ。
絶望の淵にいる、接点のない、状況も違う3人の女性が三つ編みのように空間をこえて絡みあい、闇の中から一筋の光を見つけ未来に向かって歩みだすストーリーです。
インドのカースト制度、イタリアの伝統的な工業の町、カナダのオフィス街のしがらみという、自分があがなえない社会のせいにすることなく、自分軸で前に進もうとする女性たちの、心の中の炎を感じます。
海外のどこか遠くで起こっている異国ストーリーではなく、読み進めていくうちに私はスミタであり、ジュリアであり、サラでもあると、自分自身が重なっていきました。
人生は山あり谷あり。でも、私たちはこの大きな世界という輪の中の誰かとつながっている。そして、その誰かが無二の存在として自分が溺れそうになったときに救い上げてくれるかもしれない。
個々の人間が編みの目のように折り重なることで生まれていく連鎖の可能性とその力を信じようと思えた、なにがあっても「きっと大丈夫」と、背中を押してくれる一冊でした。
声をかけてくれた早川書房のみなさま、本から勇気をもらいました。ありがとうございます。
いま、予約受付中です。
▼レティシア コロンバニ著、髙崎 順子 (その他)、 齋藤 可津子 (翻訳)『三つ編み』(早川書房、2019年)
※ゲラをお送りいただきたときのカバーの写真、書影の利用は早川書房のご担当者から許諾をいただいております!