2021年、ファンドレイジングをするとき行うべき3つの取り組み

オンライン英会話のレッスン中、先生が「新型コロナウイルスの影響は、あと3年も続くみたいよ」といって、ため息をつきました。

「旅行に行きたいけれど、2021年も無理ですかね」と返答しつつ、「でも、こうやってフィリピンと日本をつないでオンラインでコミュニケーションがとれるってすごいですよね。ICTに感謝ですよね」と私が感じているポジティブな変化も伝えました。(でも、心から旅に行きたい)

どんなに嘆いても、時間は進んでいきます。

その中で、2021年のファンドレイジング(資金調達)はどうなっていくのか考えてみました。

(1)オンラインの活用

2020年は在宅勤務・学習が余儀なくされました。そのため、それまで日本では遅れているといわれていたITの活用が一気に進みました。ZoomやGoogle Meetを通した会議もいまでは日常化しています。

またシニア層の方たちも、帰省をしないと決めた子どもや孫と連絡を取るためにオンラインを活用し始めました。

私の76歳の母も孫の顔が見たいと、Skypeを使ってコミュニケーションをとっています。

2021年もオンラインでのコミュニケーションを通じたファンドレイジングが重要な手法となるでしょう。

オンラインのセミナーも、当初は講師と直接名刺交換できないからつまらないと思っていましたが、移動する時間が不要であることから「これはありかも」と思うようになりました。

新型コロナウイルス感染症が収まって、リアルなイベントが開かれるようになったとしても、オンラインイベントの便利さに慣れた人たちは、引き続きオンラインでの参加を選ぶでしょう。

なので、2021年からオンラインとリアルの融合を通じたコミュニケーションを設計していく必要があります。

(2)オンリーワン感、熱感があるメッセージの発信

2020年はオンライン飲み会に参加しましたが、「やっぱり同じ場所で、飲んで語り合うのが楽しいな」しみじみ思ったり。

オンラインで会議ができるようになるなど便利には確かになったのですが、いつも画面越しに見ていることにさみしさを感じています。

この「リアルなコミュニケーション」が激減したいま、無機質な一辺倒のダイレクトメールには心が動かないことも。

発信するメッセージは「送る先の人を想いながら」オンリーワンを感じてもらえるように心がけましょう。

大量にメールを送るので一通一通、コメントを入れるのは無理だよと思うかもしれませんが、こんなことができるかもしれません。

  • 送る人に合ったものになっていますか?
    メッセージを送る人は誰ですか?年代は?どの活動の支援から団体に関わってくれた方ですか。その方たちが手にしたとき、読みやすい文字の大きさですか?関心がるトピックの写真が使われていますか?
  • 熱量が伝わるものになっていますか?
    活動を伝えることは基本です。それにプラスしてその活動を通して、解決したい課題や、生み出したい価値を伝えていますか?そしてなにより「なぜ自分がこれに取り組むのか」をがつんと伝えていただきたいと思います。「熱量」が感じづらいときだからこそ、しっかりと伝えていきましょう!
  • お礼をタイムリーに伝える
    ファンドレイジングの黄金律はAsk(尋ねること)とThank(お礼を言うこと)です。まずは支援をお願いしますと尋ねること、そしてご支援をいただいたらお礼を言うことがセットです。クラウドファンディングでも成功しているプロジェクトは支援者にタイムリーにお礼を伝えています。リアルタイムで「ありたとう」が聞こえないときだからこそ、メールででも「お礼」という大切なコミュニケーションをしっかり、スピーディーに取りましょう!

(3)データベースを整えて、唯一無二の計画づくりを!

新型コロナウイルス禍の中で、寄付を呼びかけづらい。

そう思っている団体も多くあるのではないでしょうか。

そんな時だからこそやっていただきたいのが支援者リストを整えることです。

たとえばいまこんな状況にありませんか?

  • イベントをやるたびにエクセルで参加者リストをつくっているが、それが統合されておらず個々のイベントのエクセルがバラバラに保存されている。
  • 担当者ごとに支援者のデータをつくっている。担当者同士、どのリストが団体内に存在するのか把握している人がいない。(会員担当は会員のリストを、イベント担当はイベント参加者リストを、事務局長が理事のリストを持っているけれど、お互いのリストは見たことがない)
  • 「団体の支援者は誰?」と質問されても、データに基づいて答えられない(「大体60代の人が多いですかね」とか仮説は持っている。その場合、検証しよう!)

ファンドレイジングの大々的なキャンペーンが打てない時だからこそ、支援者のデータを一元化しましょう!

一元化することで

  • 過去にトラブルを起こした支援者さんから電話が来ても、支援者情報が全員で見られるようになっていたら、そのことを配慮しながら対応できる
  • どのような人が支援をしてくれたのか?新しい支援者が増えたのは何年か?このような情報がわかると、それを考慮したファンドレイジング計画の策定ができる

ようなプラスの要素が働きます。

2021年、特に力を入れたい3つのポイントをお伝えしました!

今年もどうぞよろしくお願いします。

鎌倉幸子(かまくら・さちこ)

アメリカ、オランダ、ドイツ、カンボジアでの海外生活15年の青森県民。現在は東京都在住。認定ファンドレイザー。社会的インパクト・マネジメント/ITコミュニケーションとファンドレイジングが守備範囲。 詳しいプロフィールはこちら。