アメリカ横断を決めた理由は逃亡するためだった【一人でアメリカを横断してみた】

アメリカ横断をすることを決めた日は真夏日だった。

6月の夜は蒸し暑い。クーラーをつけるほどではないので窓を開ける。

「東京の空気は複雑だ」

田舎から出てきた私は、最初そう思った。

いろんな人の思いが、笑いが、怒りが、さみしさが、感情が交差するこの都会の複雑さが生み出す空気なののかもしれない。

そんな生活に、私はちょっと疲れていた。

「あぁ、逃亡したい」とつぶやいた瞬間、思った。

逃亡しよう

私はフリーランスなので、逃亡しても、インターネットさえつながれば仕事ができる。

会議もオンラインでの開催をお願いすればいいじゃないか。

連絡が取れるので「逃亡」じゃなく、「移動」だな。

どうせ移動するなら思いっきり移動したいと思い行きついたのが、アメリカ大陸を横切ることだった。

カリフォルニアから出発して、ニューヨークまで車で走ろう。

どうせならアメリカのマザーロード「ルート66」を走りたい。

PCを開いて格安航空券のサイトを開く。

7月2日、ロサンゼルス着

7月26日、ニューヨーク発

決めたのはこれだけ。25日間、スケジュールは自由だ。だからホテルは予約しないことにした。その日、その日に現地で決めよう。

ベッドに横たわって「どうしようかなー」「どこに行こうかな」とつぶやきながら、右にごろごろ、左にごろごろ。

「なんか楽しいな」

そう思った瞬間、冷たい風が窓から吹き込んできた。

暑い部屋が一瞬だけど、涼しくなる。

東京の風も捨てたものじゃない。

アメリカではどんな空気が吸えるだろう。きっと、細胞の隅まで酸素がいきわたるような気がする。

そんな期待に胸が膨らむ。

そしてまた、私はガイドブックのページをめくった。

鎌倉幸子(かまくら・さちこ)

アメリカ、オランダ、ドイツ、カンボジアでの海外生活15年の青森県民。現在は東京都在住。認定ファンドレイザー。社会的インパクト・マネジメント/ITコミュニケーションとファンドレイジングが守備範囲。 詳しいプロフィールはこちら。